#休日クリームソーダ日和

アイスがとけるまでの刹那はあの夏の日の眩さみたい。

ずる休みのクリームソーダ〈舞浜・千葉県〉【No.51 カフェ・トレイル&トラック イクスピアリ店】

カフェ・トレイル&トラック

「今日、会社休みます」

AM8:35、来客布団の中で部長への連絡を済ませる。
眠りに就いてからまだ4時間も経っていない。

アラーム音で起こしてしまった家主と二言、三言だけやりとりをした後、どちらが先か、すぐに再び寝息を立て始めた。

完全に目覚めたのは12時過ぎ。
まだぼんやりする頭を抱え、ソファに移動して横になった私が「天気いいね」と言ったら、「ディズニーシー行かない?」と返ってきた。

ディズニーリゾートライン

快晴、思いつき、無計画。
三流昼ドラのようなできすぎた予定調和よろしく、無敵の三拍子で私たちは15時半には舞浜にいた。
おそろいのカチューシャを買って、ベタにあの地球儀みたいなシンボルの前で写真を撮る。

流れる水に西日が反射して少し眩しい。
日焼け止めを借りなかったら季節外れの日焼けをするところだった。

共通の友だちにLINEで自慢すると「いいな」とうらやむ言葉と「たまにはいいよね」と肯定する言葉が続けて送られてきた。

9月最後の太陽は遅めのランチの間にあっという間に沈んでしまったけれど、大人だからもう夜も怖くない。
携帯を鳴らす会社からのメッセージも、今日だけは見ないふり。

ディズニーシー

深夜の「失恋したの」という友人の告白から数時間後、私たちは非日常の中にいる。

ディズニーシーを夢の国だなんて、正直私は思ったことがない。
だけど、今ここにいるたくさんの人たちは、それぞれ違った気持ちでこの景色を眺め、同じ時を共有しながらみんな孤独と隣りあわせだ。

触れているのに触れられないなんて、触れられないのに触れているなんて、それはたしかにだれかにとっては夢のようなできごとかもしれない。


お目当てのアトラクションをすべて制覇すると、背中からちょうどショーを締めくくる花火が追いかけてきた。

ディズニーシー

なにかの終わりを示唆するように、大きく咲いては余韻もなく散っていく。

昨日を延長させたままの私たちは、パークを出た後も上手くお別れができずにイクスピアリに向かった。


自分で始めたものは自分で終わらせるしかないけれど、それが難しいならすぐに終わらせなくたっていい。
もし立ち止まってしまうことがあれば、進行方向を示すくらいはできる。

カフェ・トレイル&トラック

方向音痴だけど、たとえばクリームソーダ一杯でひとやすみできる場所ならわかるから。


text & photo/浦田みなみ


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カフェ・トレイル&トラック イクスピアリ

カフェ・トレイル&トラック

住所:千葉県浦安市舞浜1-4 イクスピアリ2F(トレイル&トラック)
TEL:047-305-5647
平日 11:00~22:30(L.O. 21:30)
土日祝 11:00~22:30(L.O. 22:00)
※施設の運営時間変更に伴い、営業時間が変更する場合があります。
また、クリームソーダは取り扱っていません。
店員さんに承諾を得て、メニューにあるメロンソーダにバニラアイスを組み合わせていただきました。