#休日クリームソーダ日和

アイスがとけるまでの刹那はあの夏の日の眩さみたい。

うたかたのクリームソーダ〈新橋・番外編〉【No.48 日本酒バル 蔵のや 新橋】

昔読んだフランス小説に、大切なものは恋と音楽だけでほかのものは消えていい、という一節があった。

日本酒バル 蔵のや

私がこの世界に残しておきたいものを2つだけ選ぶとしたら、なにを選ぶだろう。
そんなことを『ヒルナンデス』を観ながらぼんやりと考える。

平日お昼に放送されているこのTV番組は毒にも薬にもならず、ただ眺めているだけで時間が過ぎていく。

ほかの局がこぞってウィルス感染者数の拡大を報道しているときも、まるで違う世界線から放送されているようにのんきにファッションコーデバトルをしていて、どこか救われたような気がした。

日本酒バル 蔵のや

2020年、私たちはいろんなことを制限されてきた。
夏も終わりに近づき、少しずつ外出の機会も増えてきたけれど、それでもどこかで、会う人も会う回数もセーブしている。

私は欲張りだから、自分に必要なものなんて選びきれない。

けれどたとえば、昨日観た映画の中で描かれていたような高校時代の出来事は、まるで些末なことだったみたいに今の私の体からは昇華されていってしまっているのを感じる。

きっと今大事に思うことも、いつかは私の中から消えてしまうんだろう。

日本酒バル 蔵のや


でも消えたとしても、最初からなかったことよりずっと素敵だ。

フランス小説の中で、主人公は恋人を亡くし、悲しみに暮れる日々を過ごす。
その姿に憂いて、一緒に暮らしていたハツカネズミは自らの命を絶つ。

「不幸なんかじゃない。心が痛いのよ」という最後の言葉は、心を痛めることのない人生よりもずっと幸福だと言いたいんだろう。

私たちの日々は泡のように消えていく。
だけど、儚いことを知っているからこんなにも愛おしい。

日本酒バル 蔵のや

大丈夫、映画の後に食べたクリームソーダの泡はとびきり甘い。


text & photo/浦田みなみ


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日本酒バル 蔵のや 新橋
おとなの日本酒クリームソーダ

日本酒バル 蔵のや

提供期間:2020年8月13日(木)〜9月30日(水)
場所:東京都港区新橋3-18-7 桃山ビル 3F-B
TEL:03-6459-0979
営業時間:月~金 17:00〜23:00(L.O. 22:30) / 土日祝 17:00〜22:30(L.O. 22:00)
※年中無休(年末年始を除く)
価格:好みの日本酒の価格+299円+税

「夏酒」例:羽根屋SHINE(富山県)、十九 Contrail 19(長野県)、仙禽 かぶとむし(栃木県)、山川光男(山形県) 各599円+税
※季節酒はなくなり次第順次終了、入れ替え

〔「日本酒・米屋 蔵バル 梅田」でも9/末まで販売しています〕