#休日クリームソーダ日和

アイスがとけるまでの刹那はあの夏の日の眩さみたい。

トゥギョウザー喫茶 ギョウザソーダ〈富士見台・番外編〉【休日クリームソーダ日和.29】

ギョウザソーダ

花は散るから美しいというけれど、散らない花があっても美しいと思う。
クリームソーダのアイスはできれば最後まで溶けないでいてほしい。


8月31日、東京都国立市谷保駅
気温は31.7度(体感気温は37度くらい)。
厚手のデニムが脚にまとわりつく。

目的地はバス停の目の前、団地のそばのシェア商店。
はるばるやってきたのは幻のクリームソーダのため。

トゥギョウザー喫茶

好きなクリエイターさんたちが好きなモデルをゲストに招いて「ギョウザソーダ」を作っていたのは春のこと。
そのとき限りのことだと出合うのは諦めていたけれど、まさか本物を飲むことができるなんて!

一日限定のそのショップに、高校時代に近くまで通っていたという友だちが一緒に来てくれた。
蝉の声があちこちから響く知らない街を他愛ない話をしながら歩くのは夏休みみたい。
大人にはそんなものないはずなのだけど。

トゥギョウザー喫茶

白とウッドのクリーンなそのお店にはカウンターしかなくて、開店からせいぜい30分やそこらしか経っていないというのに既に満席になっていた。
少しだけ待って、「メロンソーダ」と「レモンスカッシュ」をそれぞれ頼む。

トゥギョウザー喫茶

おすすめのギョウザ屋さんが書かれたフリーペーパーに隠れて、ちょっとドキドキしながら目の前で作られるのをちらちらとうかがう。

ギョウザソーダ

ギョウザソーダ

目の前に置かれたのは美術の時間に使った水彩絵の具のように透明なグリーンとレモンイエロー。
ちょこんとのったギョウザがかわいくて何枚も写真を撮っちゃった。
いつものクリームソーダなら短時間決戦だけど、このアイスならすぐには溶けない。

ギョウザソーダ

ソーダを飲み進めてから、ようやくギョウザ型のアイスを口に。
お箸でつまむクリームソーダなんて新鮮!
もちもちして甘くて、なんだっけこれ、昔から知っているような懐かしい感じがする。
一口食べたらまた置いておきたかったんだけど、なんだかつい進む味。

おいしい。
おいしくてかわいくて、ここに来られてよかった!

トゥギョウザー喫茶


お店を出ると隣で友だちが「あ」と言った。
「あの制服、私の通っていた学校の」
踏切前でチェックのスカートを履いた女の子が自転車をとめている。

谷保駅

不思議なことに、このあと私はかつて高校時代によく通っていた場所に向かう予定がある。
あの揺れるスカートの影に彼女がなにを見つけたかわからないけれど、今日は二人とも過去の自分を追いかけているみたい。

夏休み最後、自由研究はもうすぐ終わりそうです。



<shop>
トゥギョウザー喫茶
~冷やし餃子はじめました~

トゥギョウザー喫茶

日程:8/31(土)13:00~17:00
場所:富士見台トンネル
東京都国立市富士見台1-7富士見台第一団地商店街

<detail>
ギョウザソーダ

ギョウザソーダ

アートディレクターの古谷萌さん、コピーライターの鳥巣智行さん、菓子作家の土谷みおさん、建築家の能作淳平さんから成る「トゥギョウザー」がPen onlineでの連載の中でモデルの小谷実由さんをゲストに招き開発した幻フード。
小谷さんが純喫茶好きということから、餃子が食べられる喫茶店がないという話に発展したのが由来。




text & photo/浦田みなみ