#休日クリームソーダ日和

アイスがとけるまでの刹那はあの夏の日の眩さみたい。

はやすぎた夏の夕日のクリームソーダ〈葉山〉【休日クリームソーダ日和.17】

葉山 クリームソーダ


今年の夏はなんだかおかしい。

 

春が去ったことにも気づかないスピードで夏がやってきたと思ったのに
6月終わりから続く雨のせいで季節が逆戻りしてしまったみたい。

だから、先月のはやすぎた夏のことを思い出したように書くね。

 

葉山 街並み

平日にお休みをもらって歩く海の街、葉山。
目的はサイトウナオコさんの個展『君と歩くはじまりはクリームソーダ』。

石田ゆり子さんのInstagramで知ったんだけど
揺らぎのある線で描かれた、やさしげで物憂げな女性とねこの絵がとても印象的で楽しみにしていたの。

 

海とねこが好きな友だちを誘って、近くのクリームソーダがおいしそうなお店もさがして、準備は万端。
だけど、まさかの展示は定休日!

ブックショップカスパール

思わず笑っちゃいながら、美術館へ。
館内にあるレストランの席が空くまで敷地内を歩くと、海がもう、すぐそこまで近づく。

葉山 海の家

砂浜には、設営途中の海の家の中で休憩しているおじさんと、もっと遠くに女性の背中。

関東の海は綺麗とは到底言えない。
「アッシュグリーンだね」なんて言って笑いながら、それでも日の光を浴びてきらめく波を見つめる。

 

海の音。
日の光。

 

どうしてこんなに人がいないのか、まるでパラレルワールドに迷い込んだみたい。
葉山の海なら、関東の海なら、あと1ヶ月もすれば人であふれかえっているはずなのに。
(でも実際は、1ヶ月後ではまだ寒くて海水浴客はいないね)

葉山 砂浜

いつまでもそこに立ち尽くしてしまいそうで、私たちは石像になってしまう前にレストランに戻った。

 

お店の名前は「オランジュ・ブルー」。
海に沈む夕日をモチーフにしたというクリームソーダと同じ名前。

海辺の日差しと風を浴びながら飲むソーダ水ほど似合うものはない。

葉山 オランジュ・ブルー

夕日にはほど遠い午後のはじまり、オレンジ味の丸い小さな太陽を青い炭酸の海に沈めると
海水はブルーからグリーンに。
目の前の本物の海の色とは違うけど。

葉山 オランジュ・ブルー

海の色は不思議。
いつも同じ色ではないはずなのに、いつも同じ気持ちにさせてくれる。
悩みなんてひとつもないみたいな、まだ恐れを知らない少女の気持ち。

見たかった絵の中の女性はどんな気持ちでこちらを見据えていたのか。
今はもうわからない。

 

 

 

<shop>

葉山 オランジュ・ブルー


レストラン オランジュ・ブルー
神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
神奈川県立近代美術館 葉山 1F
TEL:046-875-0919
営業時間:ティータイム 10:00~17:00(ラストオーダー16:30)/ランチタイム 11:00~15:00
休業日:月曜日(ただし、祝日の場合は営業)、年末年始(12月29日~1月3日)
※その他臨時休業の場合もあります。


<君と歩くはじまりはクリームソーダ
2019年6月2日(土)~6月16日(日)まで開催された、アーティスト サイトウナオコさんの個展。
場所は葉山にあるブックショップ カスパール。
通常はドイツやチェコハンガリーポーランドなどのヴィンテージ絵本を取り扱う書店として営業中。

神奈川県三浦郡葉山町一色1462-5
TEL:046-874-7031
営業時間:11:00~17:00
休業日:木曜、金曜

 

 

text & photo/浦田みなみ